妖怪「件(くだん)」がテーマの漫画「クダンノゴトシ」

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クダンノゴトシ 商品レビュー

7日後に必ず“死”を迎えるとしたら、あなたならどうする?

卒業旅行帰りの大学生7人が事故で轢いてしまった、奇妙な“何か”。
その出遭いこそが、悪夢の始まりだった。
禁忌を犯してしまった若者たちは、数奇な運命に翻弄されゆく―。
『三億円事件奇譚 モンタージュ』の渡辺潤が描く“異形”ホラー

 

現在連載で、「大紋 TAKE2」そして「三億円事件奇譚モンタージュ」を描いた渡辺先生の漫画ですが、このテー マはおもしろい。

まだ連載間もないので物語の全容は明かされていませんが、ある種7人ミサキに通じるような内容なのかな?

7人ミサキというと、7人で列をなした修行僧の幽霊で、祟られると列の最後尾に追加される7人ミサキになってしまう…というヤツです。先頭の人は代わりの人を取りこめた事で成仏出来るっていうアレ。
中心となるのは「件(くだん)」という妖怪です。比較的新しい妖怪のようで、19世紀前半から日本の伝記に登場しているそうです。体は牛で頭は人間の形で生まれ、人間の言葉を話し数日で死んでしまうのですが生きている間に「重大な予言をする」と言われています。そして、その予言は外れないんだとか…。

 

で、今回なぜこの「件」の話を取り上げるのかというと、もちろん漫画が面白くてこの先が楽しみというのもあるんですが、件について調べていたらちょっと気になる部分があったからです。Wikipediaにあった文面…

 

昭和18年(1943年)には岩国市のある下駄屋に件が生まれ、「来年4、5月ごろには戦争が終わる」と予言したと言う。

 

これを初めて知ってビックリしたからです。
ネット上ではありますが、「その後憲兵にこの話が原因で数名が連行された」という記述もありました。
件という妖怪はだいぶ前から知っていましたが、まさか地元にこんな話があったとは…。

近々、民俗資料館や図書館等で当時の新聞等があれば少し調べてみたいなと思っています。
でも当時の日本の状況を考えると、さすがに記事としては残っていないかもしれませんね…。この話にしても、「戦争が終わってほしい。」という願望が件という妖怪の名を借りて現れただけなのかもしれません。

 

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岩国と件(くだん)

岩国という場所は太平洋戦争の際に、数度の空襲を受けた場所でもあります。日本がポツダム宣言を受諾した日が昭和20年8月14日、そして調印した日が翌日8月15日です(終戦記念日)。あまり知られていませんが、岩国は昭和20年8月14日に空襲を受け571人の方が亡くなっています。そして今では自衛隊と米軍の駐屯地となっています。

 

でも…。岩国の空襲は9度に渡って行われていますが、全て1945年のようです。
ちょっと調べた所(一般戦災ホームページ)で情報をまとめてみます。

1942年4月東京/名古屋/神戸で初の空襲
1943年?月岩国に件が生まれる
1944年6月北九州への初空襲
1945年3月~8月岩国が空襲を受ける

個人的に興味がある話ではあるんですが、「戦争が早く終わってほしいという願望が噂を読んだ話だったんじゃないかなぁ」とまず最初に考えました。

 

しかし、日本本土の空襲が初めて1942年4月に行われていますが、次の空襲は1944年6月。件が生まれたというのが1943年。

願望が件という「話」として形になったにしては、なんだか時系列が合わない感じもします。岩国が空襲を受けてからなら「もう空襲も戦争も嫌だ」という願望が件という噂になった…というのも分かるのですが。

件が生まれたとされるのが北九州が空襲を受ける前年の話であり、北九州は山口県の真横ですが岩国市は山口県の中でも最も広島寄りで北九州から一番離れた場所にあります。しかも予言は当たってないし。この件の話にはやっぱり謎が残ります…。

が、これ以上は自宅ではちょっと調べようがないので、またいつか情報が何か分かったら追記しようと思います。

 

牛鬼という話が怖い

それにしても、牛で思い出しましたが昨年読んだ「牛鬼」という話がちょっと怖かった。

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怖い話:牛鬼(オカルト.net)

 

「ネットで読める怖い話」好きな方は分かると思うんですが、怖い話というジャンルは年々レベルが上がってきていてちょっとした短編小説みたいな感じで読める作品もあったりします。作家顔負けの文章を書く人なんてザラにいるんです。いるんですが…そうなんですが…この「牛鬼」。

 

文章がめちゃめちゃ下手です。お世辞を入れても下手です。だから怖い。
アパートに住んでいた主人公が、ある日トイレに入ったら知らない子供がトイレの中で便器を眺めていて…というお話です。

これ以上話すとネタバレになってしまうので、興味のある方は読んでみてください。想像するとめちゃめちゃ怖い。

 

そして、岩国の件といい映画「スタンドバイミー」での犬のチョッパーといい「現実と噂には大きな隔たりがある場合がある」という例として、幽霊船として一部で有名な「良栄丸」をご紹介します。

 

幽霊船になった良栄丸

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1926年12月5日、神奈川県の三崎港を出港した良栄丸は、千葉県銚子沖にマグロを求めて進んでいた。が、暴風に
見舞われて航行不能に陥ってしまった。
そして12月15日、銚子の東方沖合い1000マイルほど流された時、紀州船によく似た船が現れたので、信号を送ったり船員が叫んだりしたのに、応答も無く通り過ぎてしまったという。なんとか日本へ戻ろうと努力したが、どうやっても逆に流されていった。

しかし、記録を調べるうちに、奇怪な事実が浮かびあがった。
数十回に渡って他の船にであっていながら、救助に応答する船は一隻としてなかったことだ。そして、良栄丸は太平洋横断の途中、たった一つの島さえも発見できなかったのである。
しかし、アメリカの貨物船「ウエスト・アイソン」号のリチャード・ヒーリィ船長は、次のように述べている。
「1926年12月23日、シアトルから約1000キロの太平洋上で波間に漂う木造船を発見したが、救助信号を送っても返事が無いので近づきました。しかし、良栄丸の船窓や甲板に立ってこっちを見ていた10人ほどの船員は、誰一人として応えず、馬鹿らしくなって引き上げたのです」
だが良栄丸の記録に、このことは書かれていない。

その後発見された良栄丸はボロボロに朽ち果てワカメやフジツボが船体を覆い、甲板にはミイラが転がっていた。船室の奥の部屋には、おびただしい血痕が染みついていた。

船尾の司厨室では、海鳥の白い羽が、至る所に散らばっており、コンロの上にあった石油缶の中には、『人の腕』が入っていた…。

以下は航海日誌に綴られた実際の内容である。
「12月27日、沖の大海へ出ると波も風も何も無い。
もう外国と日本の中ほどにまで流されたのではないかと不安が募る。」
「12月27日。カツオ10本つる」
「1月27日。外国船を発見。応答なし。雨が降るとオケに雨水をため、これを飲料水とした」
「2月17日。いよいよ食料少なし」
「3月6日。魚一匹もとれず。食料はひとつのこらず底をついた。恐ろしい飢えと死神がじょじょにやってきた」
「3月7日。最初の犠牲者がでた。機関長・細井伝次郎は、「ひとめ見たい・・・日本の土を一足ふみたい」とうめきながら死んでいった。全員で水葬にする」
「3月9日。サメの大きなやつが一本つれたが、直江常次は食べる気力もなく、やせおとろえて死亡。水葬に処す」
「3月15日。それまで航海日誌をつけていた井沢捨次が病死。かわって松本源之助が筆をとる。井沢の遺体を水葬にするのに、やっとのありさま。全員、顔は青白くヤマアラシのごとくヒゲがのび、ふらふらと亡霊そっくりの歩きざまは悲し」
「3月27日。寺田初造と横田良之助のふたりは、突然うわごとを発し、「おーい富士山だ。アメリカにつきやがった。ああ、にじが見える・・・・。」などと狂気を発して、左舷の板にがりがりと歯をくいこませて悶死する。いよいよ地獄の底も近い」
「3月29日。メバチ一匹を吉田藤吉がつりあげたるを見て、三谷寅吉は突然として逆上し、オノを振りあげるや、吉田藤吉の頭をめった打ちにする。その恐ろしき光景にも、みな立ち上がる気力もなく、しばしぼう然。のこる者は野菜の不足から、壊血病となりて歯という歯から血液したたるは、みな妖怪変化のすさまじき様相となる。ああ、仏様よ」
「4月4日。三鬼船長は甲板上を低く飛びかすめる大鳥を、ヘビのごとき速さで手づかみにとらえる。全員、人食いアリのごとくむらがり、羽をむしりとって、生きたままの大鳥をむさぼる。血がしたたる生肉をくらうは、これほどの美味なるものはなしと心得たい。これもみな、餓鬼畜生となせる業か」
「4月6日。辻門良治、血へどを吐きて死亡」
「4月14日。沢山勘十郎、船室にて不意に狂暴と化して発狂し死骸を切り刻む姿は地獄か。人肉食べる気力あれば、まだ救いあり」
「4月19日。富山和男、沢村勘十郎の二名、料理室にて人肉を争う。地獄の鬼と化すも、ただ、ただ生きて日本に帰りたき一心のみなり。同夜、二名とも血だるまにて、ころげまわり死亡」
「5月6日。三鬼船長、ついに一歩も動けず。乗組員十二名のうち残るは船長と日記記録係の私のみ。ふたりとも重いカッケ病で小便、大便にも動けず、そのままたれ流すはしかたなし」
「5月11日。曇り。北西の風やや強し。南に西に、船はただ風のままに流れる。山影も見えず、陸地も見えず。船影はなし。あまいサトウ粒ひとつなめて死にたし。友の死骸は肉がどろどろに腐り、溶けて流れた血肉の死臭のみがあり。白骨のぞきて、この世の終わりとするや・・・・」

 

という話で、ネット混迷期からこの話って見かけてた気がするんですが、このオカルティックな話をオカルトクロニクルさんが詳細に検証しています。

一度は晴らされた汚名を、今の時代になってまた着せられている乗組員の方々の名誉のためにも、オカルトクロニクルさんの検証が世に広まる事を願います。

 

ミイラ漂流船―良栄丸の怪奇(オカルトクロニクル)

オカルトクロニクルさんは全ての記事が細部まで入念に書かれていて読み物としてもおもしろいのでオススメです。

 

かなり話が脱線してしまいましたが、クダンノゴトシの今後のストーリー展開を期待してます!